寛容と正義(仲正昌樹)


■仲正昌樹=著
■定価:本体1600円+税
■判型:四六判

buyamazon

2017年9月放送のNHK「100分 de 名著」から

2017年9月放送のNHK「100分 de 名著」から


 イラク戦争で鮮明になった敵/味方二元論の限界と無力。かかる〝正義〟の独善性を衝いた『正義と不自由』から10年――。奇しくも本著は益々混迷を深めるその後の中東情勢と〝正義〟の行方を暗示する予言の書となった。『寛容と正義』は旧版『正義と不自由』に著者書き下し「歴史と正義」を新たに加えた新装改訂版である。

序章 歴史と正義
一 「反省的均衡」の意義
二 価値多元主義と反省的均衡
三 “啓蒙主義”の罠

第1章 「敵/味方」図式の〝正義〟
▼1 ブッシュのアメリカ「無限の正義」への欲望
▼2 脱国境化する「帝国」とイラク戦争
▼3 進化する資本主義と「物象化」

第2章 脱構築とプラグマティズム
▼1 アメリカ政治思想における「自由」と「共同体」
▼2 「民主」と「愛国」のプラグマティズム
▼3 脱構築の政治アメリカ左派とデリダ
▼4 アメリカ「憲法」に潜む〈帝国〉と共和主義

第3章 〝不自由〟な左翼思想
▼1 ドイツにおける新保守主義の台頭
▼2 大きな物語も小さな物語も終わった
▼3 近代知の超克を訴えた廣松構想のリアリティ
▼4 〈善良な庶民〉幻想に浸る左翼と「国民国家」


【著者プロフィール】
仲正昌樹(なかまさ・まさき)

1963年、広島県市呉市出身。
1996年、東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程終了(学術博士)。
1995〜1996年、ドイツ学術交流会、給費留学生としてマンハイム大学に留学。帰国後、駒澤大学文学部非常勤講師(哲学・論理学)などを経て、2004年、金沢大学法学部(現法学類)教授。以来現在にいたる。

●著書
『ラディカリズムの果てに』、『金沢からの手紙』、『前略仲正先生ご相談があります』、『教養主義復権論』、『〈リア充〉幻想』、『2012年の正義・自由・日本』、『〈ネ申〉の民主主義』、翻訳にハンナ・アーレント著『完訳カント政治哲学講義録』(以上弊社刊)。
『貨幣空間』(情況出版)、『モデルネの葛藤』(御茶の水書房)、『ポスト・モダンの左旋回』(情況出版)、『日常・共同体・アイロニー──自己決定の本質と限界』(宮台真司と共著、双風舎、2004年)、『集中講義! 日本の現代思想』(NHKブックス、2006年)、『集中講義! アメリカ現代思想』、『今こそアーレントを読み直す』(講談社現代新書)、『マックス・ウェーバーを読む』(講談社現代新書)など多数。
 他に、作品社による「仲正昌樹講義シリーズ」は『〈学問〉の取扱説明書』以来、最新刊『〈日本哲学〉入門講義——西田幾多郎と和辻哲郎』まで既に七冊を数え、いずれも好評を得ている。