匿名希望(第2回)

今月の「千字綴り書き」(第2回)、「発泡酒をビールと間違える仕合わせ」。

 前回は「違いのわかる男」、「ネスカフェ」CMの裏に潜む真意を考察してみた。
 今回は「ビールと間違いてしまいました」の発泡酒について触れる。「違いがわかるよりも男」より「違いのわからない男」の方が、実生活において仕合わせなのだ、と結論付けた前回の、いわば立証編だ。
 明月堂書店に訪問客があった場合、(飲み物などの)もてなしはほとんどやらない。やむなく「ネスカフェ」を出す事もあるが……、とは前回書いた。
 しかし、これは、昼間の話。夕方以降の来客に対してはほぼ例外なく(辞退されない限り)アルコールを献上している。種類は、焼酎か発泡酒。何故か日本酒はない。ビールは高価なので歳暮・中元の貰い物以外は社内在庫がないのが普通。ただ発泡酒にも色々あって、小生行き付けの近所のスパーの棚には、キリン〈のどごし生〉(166円)、麒麟淡麗〈生〉(188円)、キリン麦のごちそう(166円)、アサヒクリア(166円)、サッポロ麦とホップ(168円)、Asahi off(166円)、サントリー金麦(170円)、そしてやはりサントリーのゴールドブリュー(146円)などが並んでいる(値段はいずれも500ml)。隣接する棚にはビールもそれに劣らず各種並んでいるが、こちらはいずれも100円以上高価である。上記の商品の中から「違いのわからない男」、小生の選ぶ一品(にして逸品)は当然ゴールドブリュー146円だ。自明の理ではないか、一本につき20円も安く、ビールと比べれば100円以上の倹約になるのである。しかも、「違いがわからない男」が幸いし、「ビールと間違える旨さ」を堪能出来るのである。これ以上、何を語る必用があるだろうか。

我が社の自慢ゴールドブリューとネスカフェ

我が社の自慢ゴールドブリューとネスカフェ

 「ビールと間違いてしまいました」これは、サッポル麦とホップの田村正和さんだけれども、小生、妙に親近感を感じてしまうのであった。
 あのCM、貧乏人には追い風である。本当に助かっている。ああいう大御所が援護射撃してくれると、胸を張って何の気後れもなく堂々とゴールドブリューが振る舞えるからである。
 以上、「千字綴り書き」、前回はかき過ぎてしまった。今回は、ちょっと控えめにして指を擱おく。