私たちはテロリストの味方です。
 原発を推進し日本を破滅させて貰いましょう。
 私たちは原発を推進し日本を破滅に追い込む舛添候補を応援します。
 こんな日本は破滅させて貰いましょう! 原発で舛添さんに! 

 夕方愚犬ラッキーと戸山公園脇の道路を散歩していたらラウドスピーカーの音量を一杯に膨らませてマイクロバスが通り過ぎて行った。バスの屋根の回りを囲むように「原発推進」の文字が踊る。

戸山公園

戸山公園

 都知事選、舛添候補に期待する勝手連的応援団のバスだったのだと思う。その熱い思いをもっと聴いてみたい気もしたが、一瞬にして行ってしまったのは残念であった。
 その昔、私が岐阜で写植工として働いていた頃、博多に事務所を置く暴力団の幹部が同僚でいた。彼の話では、選挙があると候補者やその関係者のところに行っては、なんだかんだと利権絡みの話をするらしいのだった。
 もし、要求を断りでもしようものなら、一転、居直って
 「そうですか。わかりました。それなら応援させて頂きます。(組員に)動員掛けて全力で応援します。いいんですね」
 と、慇懃に応援を申し出るのだそうである。いいはすがないのだ、たいてい、これで要求は聞き入れられるらしい。
 マイクロバスから響く舛添応援の連呼を聴きながらそんな遠い昔の記憶が頭をよぎったのだった。

 会社に戻ってパソコンを開くと、radikoから佐村河内守さんのニュースが流れてくる。たまたま『NHKスペシャル』で彼の番組をみていたので彼の事は良く知っていた。音楽の才能など微塵も持ち合わせていない癖に、その才能にはなみなみならぬ羨望をもつ私は、番組で紹介させた彼の才能と、苦難を乗越え作品に仕上げてゆくその強い意志力に、自分の卑小さを感じ、ひたすら彼に恐縮し、ほとんど打ちのめされんばかりになった記憶があるので、今回の騒動にはいろいろ考えさせられるところがある。
 恐らく真相は今日記者会見したゴーストライター氏の言う通りなのだろうと思う。そうだとすると、『NHKスペシャル』の中にいた彼は全部イツワリの彼だった。番組制作者を騙し、放送局を騙し、視聴者を騙し、やがて日本中を騙し、世界を手玉にとった、まさに迫真の演技だったと言うことになる。これもまた凄い事ではないだろうか。
 音楽の才能はイツワリだったかも知れないが、期せずして、俳優としての才能は本物だったことを示したのであった。
 これまでの苦難はイツワリの苦難だったかも知れないが、これから彼を待ち受ける苦難はイツワリではないだろう。
 そこで私は(僭越ながら)彼に今後、俳優の路に活路を求めるよう提案したいのである。彼の演技が既に名人の域に達していることは、日本中が広く認めているところである。総ては彼の覚悟にかかっているのだ。
 「佐村河内守(さむらごうちまもる)」、なかなか味のあるいい名前だけれども、せっかくこんなに特徴のある「いい名前」に恵まれているのだから、この際、仕事を時代劇に特化し、芸名も「佐村河内守(さむら・かわちのかみ)」と改めたると、更にいいと思うのだ。
NHK大河ドラマ、戦国武将、直江山城守(なおえ・やましろのかみ、直江兼続)みたいじゃないか。
 仕事始めは、全聾の家老なんてのから初めてはどうか、更に芸域を広げていって、全盲剣士、机竜之助(http://ja.wikipedia.org/wiki/机竜之助)の向こうを張って、全聾剣士、佐村河内守などと、芸名そのままで剣士役をこなすのも似合いそうである。是非、検討してもらいたい。
 この娑婆世界、「食品偽装」があれだけあれば、当然「人格偽装」だってあるだろう。私はこれを怒っていない。私はニセモノが好きなのだ。カワチの守、頑張ってくれ。