反知性主義で一味を集めようとする反ポモ集団(山川ブラザーズ)の浅ましさ


仲正昌樹[第46回]
2017年7月7日

 前回、フランス語の文法を捏造してまで、ポストモダンに関する自分の思い込みに固執する、uncorrelatedという反ポモ人の言動について論評し、彼が疑問に思っていたという、ラカンのテクストをどう訳すべきかについてやや詳細に解説した。すると、uncorrelatedは次のような、頭の悪い反応をした。

こんなに長々と書くのであれば、ここは日本語訳するとこうなると言えば済むのだが、なぜ仲正昌樹氏がそれをしないのかが気になる。

まぁ、ce qu’on appelle un nombre imaginaire qui est √-1. の文を訳してしまったら、どちらにしろ数学を濫用していることにしかならないから、ポストモダン擁護をしたい仲正昌樹氏にとっては、都合がよくないのであろう。

 何を言っているのだろう。この男は、自分が理解したくないことは眼に入らないようになっているらしい。それともフランス語や英語だけでなく、日本語の読解力も決定的に欠如しているのだろうか。いずれにしても、まともに説明しても通じない人間であることはよく分かった。フランス語の文法を捻じ曲げ、読んでもないものを読んでいるかのように見せかける文章を平気で載せる、彼のブログは恥ずかしげもなく、「ニュースの社会科学的な裏側」を名乗っている。社会科学どころか、フェイクニュース・サイトである。
 この男に限らず、ネット上で又聞きの又聞きの又聞きの…又聞きで、安直な反ポモ情報を拡散して悦に入っている集団(山川ブラザーズ)は、都合の悪い話は最初から無視し、そのことを指摘されても、山川がいつもそうやっているように、「そんな言い訳めいた言い分など論じる価値なし」と勝手に断定し、開き直る。そういういい加減さの極みのような山川ブラザーズの言い分を無批判にリツイートする輩が一定数いる。恐らく、流行の思想の最先端を行っているように見えて、注目されている連中のずさんさ、足下の危うさが暴露されていい気味だ、くらいの軽い気持ちなのだろうが、それはリツイートしている人間の知性のなさの証明である。
 政権与党の幹部とか売れっ子芸能人のスキャンダル情報が出ると、その信憑性を自分なりに吟味しようと努力することなく、そのまま拡散したり、Yahooニュースなどの書き込み欄に、「とうとう真実が明らかになった!」と書き込んでいる輩のメンタリティと同じだろう。「ソーカルによるポストモダン批判」というと、何となく知的な話に聞こえるが、自分の気に食わない奴が叩かれているのを無条件に歓迎し、その感情を臆面もなく表明しているだけだから、加計学園問題やジャニーズ事務所の御家騒動に関する一方的報道に便乗してバカ騒ぎするのと同じである。山川ブラザーズは、そうした訳が分かっていない連中が多数RTしてくれたことをもって、自分の主張の正しさが証明されたと宣言し、ますます悦に入る。彼らは、「ポスト・トゥルース」的傾向と呼ばれるものの最先端を行っている。
 最近、山川ブラザーズ絡みの反ポモ系のニュースだけでなく、政治絡みのニュースもよくRTしている「しゃかいno木鐸!」という人間が、私に関する、出所がものすごくいい加減な情報をRTして悦に入っているのを発見した。この人間は、四月末頃、山川が私に対する“反論”と称するものを自分のブログに掲載し、脊髄反射的なRTを集めて勝利宣言をしていた時に、「悲しい!仲正先生の味方がいない!」「本人の人徳のないせいか!」などという、白々しいツブヤキをしつこく繰り返していた奴である。そのことに抗議したところ、公共的な場での論争なので、僕のような自由なコメントを認めるべきです、とこれまた白々しい弁解をしていた。批判の対象であるラカンやクリステヴァのテクストどころか、ソーカルのテクスト自体さえまともに読まず、仲正のような卑怯者は論評するに値しないと宣言する山川や祭谷が論争をやっていると言うのだから、こいつの公共性の感覚はかなり歪んでいるとしか思えない。しゃかいno木鐸! 曰く、

借○玉もN正先生もそうだけど、普段から口が汚い人に限ってすぐに「名誉毀損だ」って言ってくるの本当になんなんでしょうね。 頭の中でどういう機序が働いてるのか、本当にわかんない。

以前「N正先生は人徳がないからネットで人気がない」て呟いたら本人からDM来てめっちゃ怒られたんですけど、ついに先生の大学で授業を受けた卒業生からも「嫌な奴だった」とのお言葉を頂いたんでやっぱり間違ってなかったのでは

 借金玉としゃかいno木鐸! の間でどんなやりとりがあったか知らないし、関心もないが、少なくとも私に関しては、山川に便乗して一方的なからかいの言葉を浴びせ、その行為を謝りもせず、正当化しようとしたのは、しゃかいno木鐸! である。念のために言っておくと、彼が山川に同調して、私をからかうツイートを連投する以前には、彼と私の間には一切接点がない。本人が認めているように、彼は、他人の悪口を言えないと、ツイッターをやっている価値がないと感じるようである。機序が働いていないのがどっちかは一目瞭然だろう。こいつはネット上で匿名で他人をからかう権利というものがあるとでも思っているのだろうか?
 私が今回、最も問題にしたいのは、こいつが、miho-jerryという人物をソースにしていることである。miho-jerryは本名も年齢も明かしていないので、本当に金沢大学の卒業生かどうか分からない。どこの学部(学類)だったかさえ明らかにしていない。法学部(法学類)でないとすると、私の授業に出た可能性はかなり低い。この人物によると、

N正先生は某「地方の二流国立大学」からいつまでも脱出できなくて気が狂って来てるんじゃないですかね。昔から嫌な奴でしたけど、最近はまたレベルが上がってきてるんですね。

 ということだが、こんな適当なことをツブヤクのに金沢大学の関係者である必要などない。この極北の連載を見ていれば、誰でも思いつく平凡な悪口だ。この人物のツイートを検索してみたが、私の授業に出た学生でないと分からない情報どころか、金沢大学の関係者でないと分からないような情報さえ一切出てこなかった。私に直接言及しているのは上記のツブヤキだけである。しかもよく見れば分かるように、この人物は私の授業に出たことがあると明言してない。どうして、これが、私がいやな教師であることの証明になると思えてしまうのか。仮に私の授業に出たことが実際にあるとしても、本人がどういう態度で授業に臨んでいたか分からないし、出席者の内の一人の個人的感想にすぎない。しゃかいno木鐸!の頭の構造が分からない――とんでもなくバカで、物事を自分の都合いいように捻じ曲げるのが当たり前になりすぎていると仮定すると、簡単に理解できる。はっきりしているのは、自分に都合のいい情報に思えたから、簡単に信じてしまった、あるいはそのふりをした、ということである。しゃかいno木鐸! の、このいい加減な憶測をRTしている人間が十数名いるのだから呆れかえる。山川ブラザーズはこうやって増殖していくのだろう。
 「ポモは嫌いだ」とか、「ポモの代表の東や千葉はレトリックだけだ」、「ポモ擁護をする仲正は人格破綻者だ」といった、自分に都合のいい情報を語る者同士がお互いにRTし合うことで、余計に偏見を強める方向へとどんどん流れていくこの現象は、アメリカの憲法学者キャス・サンスティンの用語で言えば、サイバー・カスケードだ。あるいは、山川が反ポモのバイブルとして新たに持ち上げようとしているカナダの哲学者ジョセフ・ヒースが『啓蒙主義2.0』で使っている用語で言えば、山川ブラザーズの言動には確証バイアス(confirmation bias)が強く働いている。人は自分の仮説を確証しようとすると、その仮説にとって都合の良い証拠だけが目に入り、そうでないものは無視する傾向がある。「反ポモ的」に見える(日本語の)ネット情報をとにかく掻き集めてきて、「ポモはこれだけ学問的信用を失っている」とか、「ポモはもはやまともに相手にされていない」といった自分の主張が確証されたと思い込む山川の態度、仲正は人格破綻者だという不確かな情報を鵜呑みにするしゃかいno木鐸! の態度は、その最たるものだろう。
山川等は、ソーカルの場合と同様に、ヒースの著作もちゃんと読んでいないのか。それとも理解する能力がないのか。多分、両方だろう。『啓蒙主義2.0』を読むと、まさに山川ブラザーズのようなフェイクニュース集団にどうやって対処するべきか説いた本だという気がしてくる。


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仲正昌樹=著
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―センセイハ憂鬱デアル—

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※6月発売を予告していたせいか、数件、お問い合わせを頂きましたが、予定より1カ月ほど遅れて7月中旬の発売となります。遅れたことをお詫び申し上げます。都内の大型書店などでは7月14日頃には店頭に並ぶと思いますが、地方書店の場合、若干遅れるかもしれません。またアマゾンからご注文を頂いた場合、弊社のこれまでの例からして書店さんへの注文より若干遅れる傾向にあります。お急ぎの方はお近くの書店にご予約して頂くことをおすすめいたします。