仲正昌樹講座案内
「戦後思想」入門講義

仲正昌樹

仲正昌樹

日本の「戦後思想」とは、いったいなんだったのか?
二人の巨人、丸山真男と吉本隆明を軸に、戦後思想を読み解く入門講義。

戦後70年を経て、いま「戦後」とその思想とは何か? をもう一度問い直す機運がでている。
加藤典洋『戦後入門』(ちくま新書)ほか、急速に歴史化する「戦後」とその思想を巡る議論は、左・右をといわず、盛んであるが、何がどう論じられ、どのような論争があったのか?は、現在、見取り図は少ない。
本講義は、戦後思想界に多大な影響を与えた大物「丸山真男」と「吉本隆明」を取り上げ、「戦後の思想界地図」をもう一度、現在からの視点で描く。『戦後』思想を知らない世代のための(知ってる人にとっては“再”)入門講義。
市民社会的な思考の確立の必要性を強調し、戦後の正統派のリベラルの代表格と見なされることの多い丸山と、大衆に内在する非合理的な願望に焦点を当て、ポス トモダンへのブリッジになった吉本は、全く異質の思想家であるようにも思える。が、今回とりあげる、丸山眞男の後期の主要著作『忠誠と反逆』と、吉本隆明 の代表的著作『共同幻想論』は、両者とも「国家」と「主体」の関係を歴史的に掘り下げて考えている。丸山と吉本を対比しながら読むことで、西欧とは異な る、日本的な「主体」観の可能性、つまり、「国家」VS.「主体」という戦後日本の底流に流れる思想テーマを再考しながら、通史的に「戦後思想」を概観する。

【日程とテキスト】
•2016年1月第一回 丸山眞男「忠誠と反逆」:『忠誠と反逆』(ちくま学芸文庫)
•2016年2月第二回 丸山眞男「忠誠と反逆」:『忠誠と反逆』
•2016年3月第三回 丸山眞男「忠誠と反逆」:『忠誠と反逆』(同書に所収の他の論文「幕末における視座の変革」なども適宜参照)
•2016年4月第四回 吉本隆明『共同幻想論』(角川ソフィア文庫)
•2016年5月第五回 吉本隆明『共同幻想論』
•2016年6月第六回 吉本隆明『共同幻想論』

※各月第二土曜日17時開始(二時間想定)。