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東陽片岡の女人追憶【第5回】(テレクラの巻1) – 月刊極北

東陽片岡の女人追憶【第5回】
テレクラの巻1

東陽片岡[第5回]
2013年3月2日
[1]

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 つーフンイキ的按配で、かなり春めいてまいりましたが、皆様如何お過ごしでしょうか?
 つー訳で今回は、テレクラの巻でございます。
 テレクラちーたら、そう、ありゃもう25年も前の、懐かしいブームでした。当時、真性ホーケイシリツを受けて間もないワタヒは、おセックスをしたくてたまらず、パートナーを見つければタダで夢が叶う、テレクラにのめり込んでいたのであります。
 ボールペンの先で受話器のボタンを押し続け、着信ランプ点灯と同時に、ペンをずらして通話に入るという裏技を駆使してたのも、今では良い思い出でございます。
 そんなある日、A美つー、ワタヒと同年のおネエちゃんと電話がつながりました。
 彼女が言うには、青森から集団就職で上京し、職業を転々としてきたが、そろそろ実家に帰ろうと思っているつー事でした。
 こりゃ帰る前にイッパツお願いせネバと、すかさず後日会う約束をしたのであります。
 んで数日後。江戸川区の環七沿いのファミレスでご対面すっと、笑顔が素敵なそこそこの美人だったものですから、期待してなかっただけにしこたま感動しました。しかしワタヒは小心者なので、その日はお預けとなり、以後電話で連絡を取り合うよーになりました。
 なんつってノンビシ構えてましたら、ワタヒとイッパツやる前に、A美嬢は実家の青森に帰ってしまったのであります。青森つっても彼女の家は、下北半島の、むつ市のさらに外れにあるのです。こりゃもうダメだと諦める事にしました。
 それからほどなく、A美嬢から手紙が届きました。
 帰ってからむつ市の大湊に長屋を借りて住み、近所の縫製工場で働いてるとの事。
 大湊ちーたら、北島三郎の「風雪ながれ旅」の歌詞にも出てくる港町であります。
 そりゃ良ござんしたと、なかば諦めムードでしばらく文通が続きます。
 未練つー奴でしょうか。
 そのうちどうしても、A美嬢とおセックスしたい気持ちを抑える事が出来なくなってしまいました。
 もうこうなったら、会いに行くしかありません。
 当時、ヤマハのXJ750Eつーバイクに乗ってたワタヒは、6月の梅雨の晴れ間のある日、リヤシートに寝袋とテントを積み、さっそく東北自動車道を北上したのでした(つづく)。